ムクナ百科

ムクナに関する基礎知識を紹介します。

自然循環型農業に利用できる植物として、農業関係者から注目を集めています。

jiten-image消費者の安心・安全に対する意識の高まりは、当然のことながら、農業関係者の間にお いては減農薬・無農薬への動きと相まっています。これは、自然循環型農業として世界的 な動きとなりつつあり、ムクナはそれに利用できる植物であることから農薬を使わなくて もそれ相当の効果を見込める農薬の代替物として注目を集めています。

研究者の間では、以前からムクナは「他感作用」のある物質として良く知られています。 その他感作用の素は、ムクナの葉や根、豆など全体に多量に含まれるL-ドーパで、果樹・野菜等の栽培 時の雑草防除に利用することができます。
L-ドーパは広葉の雑草の育成を阻害しますが、トウモロコシやソルガモなどのイネ科植物 は阻害しないこと、また、L-ドーパは土壌中では速やかに分解されて後作に悪影響を及ぼ さないことも報告されています。

また、地面に這わせて栽培すると土地を覆い尽くして成長するために、土壌保全のため の植物として利用することが可能です。しかも、その根は窒素を固定し、茎や葉はそのま ま鋤き込めば緑肥としても使えます。

*「他感作用」(アレロパシー(Allelopathy))
「植物が放出する化学物質が他の植物・微生物・昆虫・動物等に阻害・促進あるいはその他の何らかの影響を及ぼす現象」と説明されています。植物の持つ他感作用は、安心・安 全な食べ物生産のための有機農業、自然循環型農業に役立ちます。

*自然循環型農業
有機・無農薬栽培を基本としてさらに自然との調和を目的にした安心・安全な栽培方法を 実践する農業です。

L-ドーパを多く含みます。

ムクナの特長のひとつとして、根や茎、葉、さや、豆など植物全体にL-ドーパを多く含 むことです。植物の中には、L-ドーパを含むものがあることは知られていますが、ムクナほど含有量の高いものはありません。ムクナでは特に豆に多く含まれています。

*「L-ドーパ」(レポドパ)
L-ドーパ(レボドバ)は、体内に吸収された後に脳内で神経伝達物質ドーパミンに変 化する原材料(前駆体)で、パーキンソン病の特効薬としても知られています。

日本名は八升豆です。

jiten-mapムクナ豆は、うまく収穫出来るとその量がとても多いことから「八升豆」と呼ばれ、江 戸時代頃までは西日本を中心に栽培され品種改良も進んでいました。しかし、栽培期間が 長く豆自体がとても固く調理が大変なことから、日本ではすたれてしまい現在はあまり栽 培されていません。

つる性のマメ科の植物です。

jiten-hanaムクナは、ヒマラヤ原産と言われ多様な品種があり熱帯アジアを中心に広く分布してい ます。つる性の植物で、3~18mにまで成長して白から濃い紫の藤に似た花をつけます。
一つの花房から数本がぶら下がるようにさやが付きます。豆は黒・白・黄褐色をしており、 タンパク質、炭水化物・脂質・ミネラルを含んでいます。ムクナの種は高い濃度のL-ドーパを含むことが知られていて、さや、葉、茎にはL-ドーパ以外にはセロトニンの集積も見つかっているそうです。

春に種を植え付けたムクナは発芽したての頃は大豆の苗のような状態です。初夏につる が伸び始め、周囲のものに巻きつき勢いよく成長します。盛夏の太陽と雨を受けてグング ン成長し、大きな葉は人の手のひらより大きくなり、支柱を立てた場合は植物全体もこん もりとした緑の塊のような状態になります。晩夏には花芽をつけて結実しますが、その時 期は雨や風に弱いので台風には十分な注意が必要です。秋にはさやが大きく育ち中で豆が 成熟します。

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健康食・自然食の観点から注目を集めています。

jiten-noukaムクナは、その他感作用も含めて病虫害に強いので栽培には農薬を必要としま せん。また、ムクナ豆は肥沃な土地でなくても十分な収穫がある上に大豆やソラマメなど の豆類と同等の栄養素を含むため、発展途上国の食糧難に対する栄養源としても 有望です。
その豆の栄養価は、100gあたりに、エネルギー379キロカロリー、炭水化物57g、 タンパク質25g、脂質5g、カリウム1g、その他としてナトリウム、鉄分も含まれていま す。
また、豆に含まれるL-ドーパは神経伝達物質のドーパミンの補給のために有効であるこ とから、体調維持、体力向上の健康食としても注目を集めています。

ムクナ豆の参考栄養価(豆100gあたりの目安)※産地により異なります

豆に含まれるL-ドーパは、100gあたり3.5~4.5%程度です。

*ムクナ豆については、古くから食糧として利用されてきた歴史があります。しかし、ムクナの茎や葉、根については、その歴史がなく現在のところ成分も明らかになっていないので安全性の観点から茎や葉、根を加工したお茶などの利用についてはお勧めできません。ご注意ください。

青魚のまいわしやソラマメとほぼ同等量の必須アミノ酸(9種類)を含みます。

必須アミノ酸とは
人間の体はすべてタンパク質から作られていて、その原料は20種類のアミノ酸です。人は、肉や魚、穀物、野菜、果物など様々な食物を食べそれを分解して体を動かすエネルギーにしたり、体を作る原料のアミノ酸に合成したりしています。各種アミノ酸は人の体内で合成されますが、必須アミノ酸(9種類)は合成できないために栄養分として食事から摂取しなければならないのです。

ムクナ豆と必須アミノ酸
ムクナ豆は9種類の必須アミノ酸をバランスよくすべて含んでいます。その量を日本人になじみの深い他の食品と比較してみました。

ムクナ豆と他の食品との成分量の比較(可食部100gあたりの必須アミノ酸量)

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(注)
1.ムクナ豆以外の食品データの出典は、文部科学省 食品成分データベースです。
2.ムクナ豆のデータは、協賛企業提供です。
3.チロシンは、必須アミノ酸には含まれていません。

必須アミノ酸の含有量については、ムクナ豆はほとんどの成分について「鶏卵」を大きく上回り、「まいわし」「ソラマメ」と同等ないしはそれ以上の栄養価の高い食品と言えます。なお、チロシンは必須アミノ酸には含まれていませんが、ムクナ豆は他の食品に比べてそれをとても多く含みます。チロシンを多く含む食品の代表格には、大豆やチーズ、タラコなどがありますが、ムクナ豆が含むチロシンの量は大豆、チーズ、タラコに次ぐほど豊富です。

必須アミノ酸の効果

・イソロイシン
筋肉・成長・神経伝達・肝機能にはたらきかけます。
からだの成長を促すのに役立つアミノ酸です。また、バリン、ロイシンとともにBCAA(分岐鎖アミノ酸類)と呼ばれ、筋肉のエネルギー源となり運動中の筋肉消耗を低減するための効果があるので活動的な生活を送るための必須栄養素と言えます。
さらには、血管の拡張や肝機能の強化にも役立ち神経の働きを良くする効果も報告されています。

・ロイシン
肝機能・筋肉にはたらきかけます。
肝機能の円滑化や強化が主たる効果です。また、バリン、イソロイシンとともにBCAA(分岐鎖アミノ酸類)と呼ばれ、筋肉のエネルギー源となり運動中の筋肉消耗を低減するための効果があるので活動的な生活を送るための必須栄養素と言えます。多くの食品に含まれているため、バランスの良い食事を維持すれば不足する心配はありません。

・リジン
吸収・代謝・修復・抗菌にはたらきかけます。
タンパク質の吸収を促進させ、ブドウ糖の代謝やカルシウムの吸収をよくするのに役立ちます。また、体を作る働きがあるので組織を修復して成長にかかわる作用が知られています。細菌やウイルスの働きを抑制する働きや肝機能を強化する効果もあります。

・メチオニン
鎮静・鎮痛にはたらきかけます。
かゆみや痛みの原因になるヒスタミンの血中濃度を下げ、コレステロール値を下げる作用もあります。また、ウツ症状を改善し気分を和らげる効果があります。

・フェニルアラニン
神経伝達・鎮痛・鎮静にはたらきかけます。
神経伝達物質であるノルエピネフリン(ノルアドレナリン)とドーパミンの原材料になる大切なアミノ酸です。神経の伝達を良くしリラックス効果があります。関節やケガの痛みを軽減する効果やウツ状態を解消し気持ちを高揚させる効果も認められています。

・チロシン(必須アミノ酸には含まれません)
神経伝達・脳・甲状腺にはたらきかけます。
神経伝達物質であるノルエピネフリン(ノルアドレナリン)とドーパミンの原材料になる大切なアミノ酸です。また、甲状腺ホルモンやメラニンの原材料にもなります。脳や神経の活発な働きを促がします。

・トレオニン(スレオニンとも呼ばれます。)
成長・脂肪肝にはたらきかけます。
成長を促進する効果があります。また、バランスの良くない食事スタイルや不摂生による肝臓への脂肪の蓄積を防ぐ効果があります。

・トリプトファン
鎮痛・鎮静・精神安定にはたらきかけます。
神経伝達物質であり鎮静・催眠効果があるセロトニンの原材料です。セロトニンが不足するとウツ症状や不眠症などを引き起こしてしまいます。

・バリン
成長・筋肉・肝機能にはたらきかけます。
ロイシン、イソロイシンとともにBCAA(分岐鎖アミノ酸類)と呼ばれ、筋肉のエネルギー源となり運動中の筋肉消耗を低減するための効果があるので活動的な生活を送るための必須栄養素と言えます。また、血液中の窒素バランスを調整する効果があります

・ヒスチジン
成長期・神経にはたらきかけます。
他の必須アミノ酸とは違い、子供は体内で合成できませんが大人は合成できます。子供の成長に不可欠なアミノ酸です。また、神経機能を補助することも知られています。

必須アミノ酸には神経や筋肉にはたらきかけるものが多くあり、ムクナ豆はそれらをバランスよく豊富に含みます。ムクナ豆の天然L-ドーパが神経や筋肉に効果的でしかもそれが持続するのは、豆に含まれる必須アミノ酸との相乗効果が自然な形でほど良く働くからと考えられます。


投稿日:2016年10月12日 更新日:

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